2005年05月26日

幸福な食卓

瀬尾まいこ、講談社、2004年11月刊、5/26に読みました。

図書館の神様」を読んで、瀬尾さんの話を好きになり、これも読んでみました。
帯に「とっても切なくて、ちょっとおかしくて、あったまる。」
とありましたがまさにそんな感じのお話。

「幸福な朝食」「バイブル」「救世主」「プレゼントの効用」の4編を収録。
話は分かれてますが、時間は連続していて1続きのお話です。

主人公は佐和子。兄がいて、父がいて、母がいます。
でも、母は訳あって別居中。
そして父は「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」と言っちゃう人。
(ちなみにこれが冒頭文)
お兄ちゃんもよくできる人だけど、ある意味、ちょっと変わった人。

お父さんが自殺未遂を起こした、って過去はやっぱり家族全員に重くのしかかるんでしょうね。
お母さんが心を壊して家を出て、佐和子は梅雨が苦手になり、そしてお兄ちゃんも、また。


登場人物で好きなのは大浦君かな。
 (略)毎日決まった動きをしていたものがなくなる。それは人を不安にさせる。不安は人を動かすのだ。
 今、大浦君は全開で私を愛してくれているし、好きだって気持ちをちゃんと伝えてくれる。
でも、それは私をとても不安にさせる。そんな大きな気持ちがずっと長続きはしないことを高校生の私は知っているのだ。前回だった気持ちはその分早く降下するに違いない。だけど、それを知ってても、ずっと好きでいてほしいって思う。だから、気を抜いちゃだめだ。って思う。(p137「救世主」より)

高校生がここまで考えてたらすごいですねー。
でも、ちょっと私が思ってることに近い気もしたりしなかったり。
いつまでもお互いの気持ちは続くんだろうか、って考えてふと不安になったりとか。


何か微笑ましいな、と思ったのが次のエピソード。
 大浦君はいつでもキスする前に、「キスしていい?」って訊く。それが余計照れくさくて私は嫌だった。
「どうしていちいち訊くの?」
「だって、お前と俺って、身長差があるだろう?」
「それがどう関係あるのよ」
「キスするまでのスパンが長いじゃん。そうするとだな。俺がキスしようとしてる間に、お前は逃げることも可能なわけだろう?」
「は?」
「いや、だからさ、逃げられたら俺ショックだし、前もって訊いておこうって思うの」
「逃げるわけないのに」
「そうなの?」
「そうなのって、私だって、大浦君のこと好きなんだよ」
「そっか。そうなんだな」
大浦君は嬉しそうに笑った。(p208「プレゼントの効用」より)

これから察するに、佐和子からってことはなかったのかな。
まぁ確かに身長差があれば、低い方からっていうのは背が届かなくてできないかな、って気はしますが。
そんなことを考えてみたりしました。何となく。

この人の本ってもしかして、純粋にハッピーエンド、っていうのはないのかな。
190ページの5行目を読んで「え?」と思い、次の行で「えええっ!?」と驚かされました。
そ、そんな話になってたなんて……(ショック)。

すごく悲しいんだけど、いちおう救いのある話、ってことになるんでしょうか。
大きな山場とかはないんだけど、でもこの人の話って好きだなー、と今回も思いました。


タグ:瀬尾まいこ
posted by ルゥ at 22:02 | Comment(0) | TrackBack(0) | その他 | 記事編集
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